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「愛洲の館」

  現在三重県に出されている「まん延防止等重点措置」については3月6日をもって解除されることになりました。しかし隣の愛知県及び岐阜県については更に2週間ほど延長される見通しとの事です。

対策についてはいろんな意見があるのでしょうが、今しばらくは県を跨ぐ移動は控えなければならないと考えています。移動が制限されていても、それによって身近にあるものをもう一度見直す良い機会としていかなければなりません。

伊勢から県道169号線(通称サニーロード)を五ケ所方面に向かって走っていくと「愛洲の館」という看板が目に入ります。「なんだろうな」といつも思っていましたが、コロナ禍が落ち着いた昨年の6月に初めて訪れることが出来ました。お恥ずかしいお話、剣道の「祖」とされる「愛洲移香斎久忠」が南伊勢出身であることをその時初めて知りました。愛洲移香斎久忠が開いた「影流」は「柳生新陰流」の元ともなったと伝えられています。それゆえ剣道を愛する人たちにとってはここが「聖地」となりえるのだと思います。五カ所はその愛洲一族が治めていたところで、「愛洲の館」の東側にある山の上に「五カ所城」がありました。山を登ると今なお堀の跡が見て取れ、天守があった場所には「愛洲移香斎」の碑も建てられていました。私は「剣道」は一切できませんが前回訪れてから「愛洲移香斎久忠」という人物にとても興味を持ち、以来少しづつですが彼について調べてみることにしました。とは言っても500年以上前の人物であり、詳しい記録はほとんど残っていません。当時の五カ所湾には中国からの貿易船も来ていたという事から、愛洲移香斎久忠は中国にも渡ったこともあるのではないかとされていますが、定かではありません。しかし五カ所が海上交通の重要な拠点であったことは間違いなく、日本全国や他国からの船も五ケ所港に来ていたことから、愛洲移香斎久忠もそれらの船に乗って各地を訪れたのでしょう。彼が「影流」を開眼したのも日向国の鵜戸の岩屋の中(現宮崎県日南市鵜戸)だと伝えられていることから、他国に渡ったというのもあながち根拠のない話ではないのかも知れません。

駐車場に車を停め「愛洲の館」に向かいます。

入館料を払って館内に入りましたが、この日は自分以外に見学者はいませんでした。展示物を見ていると以前来た時と同じように「館長」が現れ説明をしてくれました。

館長の許可をもらい、いくつかの展示物について撮影することもできました。

五カ所湾が古くからの天然の港であった事。五ケ所城はその港を守るための要塞であった事。当然のことながら戦いに対する備えもあったと考えます。そこから若き日の愛洲移香斎久忠は自らの「領分」を見出し剣の道にのめりこんでいったのだと想像するのは容易だと思います。彼の武者修行の場は近畿一円であったとされていますが、私は主に紀伊半島にあったと考えます。愛洲移香斎久忠については山岳信仰との関わりを伺わせるものもあり、彼は「山伏≒修験者≒行者」であり行者の中でも剣術を極めようと修行していた者がいたこと。愛洲移香斎久忠は薬の知識もあったことなどがその根拠となります。

館内の展示物で何か手がかりのようなものがないか見学を続けます。

柳生新陰流の師範の写真の下にある刀は当時の物であるとされ、素人目に見ただけでも短いと感じます。そして短いという事は軽いという事。「影流」とはテレビで見るようなチャンバラとは違ったものであると想像できます。短くて軽い刀を縦横無尽に振り回し、まるで猿の様に相手を翻弄し戦いを優位に進める。剣術だけにとどまらず「兵法」としてもすぐれているのではないかと思います。具体的に想像するならば、「影流」は「剣舞」に近いのではないでしょうか。

ここで館長に自分の推察を述べることにしました。

愛洲移香斎久忠は山岳信仰と深いかかわりがあった事。薬や薬草に対する知識はその時に身に着けたもの。山中を駆け回るには長くて重い刀は不便であったと考えられること。行者の中には「諜報活動」を行っていた者もいたこと。これらを考え合わせると、愛洲移香斎久忠は「忍者」の「祖」ではないかという結論に至りました。これはあくまでも自分の推察でしかありませんが、何かが一つにつながったという気がします。

館長は「なるほど」という表情で私の話を聞いてくれました。

「影流」は愛洲移香斎久忠の子孫や弟子たちによって受け継がれ伝えられ、様々な流派として広まり、やがて「柳生新陰流」となって大成したと伝えられていますが、それが本流とするならばそれとは違った流れ、まさに「影流」としての流れもあったのではないかと考えます。

想像を巡らせれば限りがありませんが、やはり愛洲移香斎久忠はとてつもない「剣士」であったことは間違いありません。地元をよく見渡せば、すぐ近くに英雄がいた事を誇りに思います。

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https://minami-ise.jp/asobu-manabu/t01.html

https://www.kankomie.or.jp/spot/detail_17921.html

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